“アベ友”秋元康のAKB総選挙に国費が投じられていた! 一方、沖縄の学校のエアコン補助費を打ち切る安倍政権の卑劣
先月17日に行われた第9回AKB48選抜総選挙。ライブ会場の設営はほぼ終えていたものの、記録的な豪雨のため、美らSUNビーチに設けられた特設会場でのライブイベントおよび開票イベントは中止に。急きょ、代替会場となる豊見城市立中央公民館にて無観客の開票が行われたことはご存知の通りだが、現在、結局使われることのなかった美らSUNビーチ特設会場の会場設営費が助成金の対象となっていたとして議論が紛糾している。
それは、今月6日、河野太郎衆議院議員のブログにより明らかになった。河野議員は〈2800万円の国費を使ったAKB総選挙が終わった。これが沖縄に何をもたらすのだろうか。〉と書いて批判。また、同ブログ内でその金額の内訳も暴露していた。
〈沖縄振興交付金としてハードに670億円、ソフトに688億円。
ソフト交付金688億円は、沖縄の実情に即して的確かつ効果的に施策を展開するため、沖縄振興に資する事業を沖縄県が自主的な選択に基づいて実施できる一括交付金だ。
そしてこのなかに戦略的課題解決観光商品等支援事業というものがあって、「沖縄観光の課題の解決を図る民間事業者の取り組みを支援し、沖縄観光の持続的発展に資する」ものに助成できる。
今回、閑散期におけるAKB総選挙の沖縄開催が、沖縄観光の発展に資するという名目で、会場設営費等が助成の対象になった。
総事業費1億3010万円、うち県交付決定額3000万円、そのうち国費が2400万円、地元の広告代理店が補助対象者となった。
事業費の残り1億円は地元企業がスポンサーとなった。〉
また、美らSUNビーチ特設会場近くの砂浜には、イベントのチケットを持つ人はもちろん、そうでない人も見ることができる無料観覧エリアとして小さなステージが設置され、総選挙イベント当日の朝にはそこでNGT48やAKB48チーム8のミニライブが行われる予定だった(こちらも大雨により中止)。そこにも、市決定交付額500万円、うち国費400万円(総事業費は1101万円)が助成されていたという。
河野議員はこういった内訳を明るみにした後、来年以降も継続的に閑散期(梅雨の時期)の沖縄で行われると保証されるわけではないAKBの総選挙のような催しに助成金を投入することが戦略として正しいのかを疑問視した。
AKB48選抜総選挙イベントは、16年に新潟、15年に福岡、14年に東京、13年に横浜と、毎年開催地を変えながら行われている。こういったことから、来年以降も沖縄での持続的な開催を考えることのできる催しとは言い難く、場当たり的な助成金の投入のようにしか見えないのは否定できない事実だ。
■AKBの総選挙に国費が行く一方、沖縄県民の生活を締め上げる“沖縄いじめ”
また、そもそも、こういったかたちでお金が使われることは沖縄県民の誰も望んでいないだろう。というのも、基地問題などを端緒とした「沖縄いじめ」の果てに、現在の沖縄では住民の生活に絶対に必要なところにお金が回されていないという状態があるからだ。
その典型的な例が、小中高校や幼稚園、保育所など108施設でエアコン維持費補助が順次打ち切られる予定だと通告された問題だ。
昨年5月、防衛省は「厳しい財政事情のため」(16年5月10日付沖縄タイムス)と説明し、騒音レベル3、4級の施設に関しては、16年度以降に空調設備の更新などで実施設計を行う空調維持費補助が順次廃止されると一方的に通告した。これは一応、日本全国一律での処置ではあるが、金額ベースでは基地の多くが集まる沖縄が7割近くを占めており、実質的には沖縄を狙い撃ちした補助打ち切りといえる。
言うまでもなく、エアコン設置は決して暑さ対策だけではない。沖縄の学校では、基地の騒音のため窓を開けて授業を行うことが難しく、そのためエアコンは適正な授業環境をつくるために必要不可欠なものである。そういったことを理解したうえでの嫌がらせのような仕打ちには、県教育庁が撤回を求める方針を示すなどの動きも出たのだが、1年経ったいまでも解決の糸口は見えず、今年6月の県議会でも翁長雄志知事が「憤りを感じている」と述べている。
なぜ、AKBの総選挙には2800万円もの大金がポンと出され(しかも、雨によりイベントの野外開催は中止となったため全額ドブに捨てたかたちになった)、学校のエアコン維持費には一銭の補助金も出されなくなるのか。
「土人」発言や、沖縄米軍基地に反対する地元の人々を「プロ市民」と断定する言説など、安倍政権や彼を信奉するネトウヨ民による沖縄ヘイトのひどさは筆舌に尽くし難いが、その最中に起きたこういうお金の回り方を見る限り、何とも言えないやるせなさを思えずにはいられない。
AKBの総合プロデューサーでもある秋元康氏といえば、「フライデー」(講談社)15年7月10日号にて、幻冬舎社長の見城徹氏、ネクシィーズの近藤太香巳社長、GMOインターネットの熊谷正寿社長、損得舎の佐藤尊徳社長らとともに、安倍総理と総理公邸西階段で「内閣ごっこ」に興じている写真をすっぱ抜かれたことは記憶に新しい。
今回の助成金の流れと、この交遊関係になんらかの関連があるのかは知る由もないが、国民ではなく「オトモダチ」の方だけを向き、自分とは意見を異にする者に対しては「幼稚」と断じても過言ではない低劣な嫌がらせを加える状況がまかり通っていいわけがない。疑問を呈し続ける必要があるだろう。