■「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準強姦逮捕状」(上)週刊新潮2017年5月18日
目下、安倍首相に最も近いジャーナリストとは山口敬之・元TBSワシントン支局長(51)を措いて他にない。彼には準強姦の嫌疑をかけられ逮捕寸前だった過去がある。これを握り潰したのもまた官邸重用の警視庁刑事部長。「忖度」大合唱の中、被害女性が告発する。
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山口敬之と聞いてピンとこない方も少なくなかろう。もっとも、主にワイドショーに出演し、立て板に水のように北朝鮮情勢やトランプ大統領の動静を解説するキューピー頭の男と形容すれば膝を打つに違いない。
なにしろ4月だけで4局8番組、延べ47回もの露出をしているのだから。
彼は1990年にTBSに入社。報道カメラマン、臨時プノンペン支局、社会部などを経て2000年から政治部に所属し、13年からワシントン支局長を務めていた。後述する出来事がきっかけで16年5月に退社するも、直後に『総理』(幻冬舎)を上梓、その中にこのような記述がある。
「(安倍(晋三)が再び)総裁の座を射止めた直後、私と遭遇した菅(義偉)は、満面の笑みで握手を求めてきた。「あの夜の山口君の電話がなければ、今日という日はなかった。ありがとう」」
また今年2月10日の安倍・トランプ会談におけるエピソードについて、
〈安倍さんはネクタイの色を「金」にするかで迷っていたんですが、“この際、金で行こうと”。さっき、電話かかってきました。会見場に入って来たときに2人とも厳しそうな顔をしていたのはなぜかと彼に聞くと、“トランプから、あんまり愉快にすると良くないから、厳しい顔して出て行こう、と言われたんだ”ということでした〉(2月11日放映、ABC「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」より)
こんな風に披露し、共演芸人らがその食い込み方に感心していたものだった。
要するに、彼は安倍政権の枢要どころかど真ん中と極めて近く、彼らが話す内容を綴ることができる人物なのだ。知っていても書けず、国民の知る権利の負託に応えられぬ記者らの体たらくが生み出したこの異色ジャーナリストは、キー局勤務の妻や玉のような子に恵まれ、春の花見時を謳歌している。スポットライトが彼を確実に捉える一方で、そこから伸び出す影法師について触れるのが本稿のテーマである。それを打ち明けるのが、山口氏にレイプされたと訴える27歳の女性。海外でジャーナリスト活動を展開する彼女の告白にまずは耳を傾けよう。
「ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた私と山口が出会ったのは2013年秋頃のことです。報道の仕事がしたいと告げると、“TBSのNY支局長にぜひ会わせたい”と。実際、数日後にその3人でランチをし、支局内を案内するなどしてもらいました」
その後、彼女は15年の頭に帰国してトムソン・ロイターでインターンとして働きつつ就職活動をする中で山口氏の「ワシントンに来てくれたらインターンでも何でも採りたいな」の言葉が頭を過(よぎ)る。そこで彼にメールをしたのがこの年の3月で、
〈しばらくこっちで仕事をしてもらいながら正式な採用に向かうという手も。それなら私が決裁できます〉
〈最大の関門はビザ。TBSで支援する事も可能〉
などのやりとりを経て、
〈ヤボ用で一時帰国する事になった。空いてる夜ある? なんか奢ります〉
〈あと、今売ってる週刊文春に僕の寄稿が掲載されるから読んでおいてね〉
として、彼女は最終的に就職の話を詰めるため、彼と東京・恵比寿で会う約束をした。それが4月3日のことである。
ちなみに文春への寄稿とは、彼が支局長の任を解かれ、退社する原因となったものである。自身渾身の取材を放送できず、代わってそれを持ち込んで原稿にした経緯を問題視されたのだった。彼女の話に戻ろう。
■「薬を入れられたんだと思っています」
「今回も誰か同席者がいると思っていたところ、お店に行って初めて2人きりなんだとわかりました。会ったのはそのときが3回目になります。その店は串焼き屋で、彼が19歳のときから父親と来ていると言っていました。口にしたものは串焼き5本、瓶ビール2本のシェア、グラスのワインを1杯ほど、になります」
そこでは「鳩山さん(由紀夫元首相)や安倍さん」の名前を出すなど人脈を吹聴するばかりで肝心の仕事の話は出なかった。店を後にする際に彼が、
「僕は明日帰るんだけど、恵比寿には顔を出さなきゃいけない店がものすごくあるから付き合って」
と言い2人は鮨屋へ。
「その場で“良い評判を聞いていたので一緒に働きたいと思っていた”とやっと仕事の話が出来ました。入店まで頭はクリアだったのに、2度目にトイレに行った時にクラクラし、給水タンクに頭をもたせかけて休んだきり、記憶がないんです。覚えている限りでは、お刺身と日本酒2合をシェアして飲んだこと。それから偶然『さかなクン』が店にいて、声を掛けるか否かという話をしたことくらいなのです」
彼女は左党だと主張し、
「酔って記憶をなくした経験は一度もありません。普段は2人でワインボトル3本空けてもまったく平気でいられる私が仕事の席で記憶をなくすほど飲むというのは絶対ない。だから、私は薬(デートレイプドラッグ)を入れられたんだと思っています。身体に痛みを感じて目覚めた時、あの人が身体の上に乗っている状態でした」
午後11時頃に退店し、タクシーに乗車した2人。
記憶のない彼女に代わって、当時両名を乗せたタクシー運転手が証言する。
「その女性のことなら、よく憶えています。後部座席の奥側に彼女が座らされていたのですが、男性は彼女に“もっといい仕事を紹介する”と話していました。女性は何度か“駅の近くで降ろしてください”と訴えたのですが、男性が“何もしないから。ホテルに行って”と。それで、結局2人をホテルに連れて行ったのですが、到着しても彼女はなかなか降りようとしませんでした。けれど最終的には彼女は体ごと抱えられて、座席から降ろされたのです」
■本当に好きになって
それが午後11時22分。フロントからエレベーターで2階へ、彼女は意識が朦朧としたままだ。
「意識が戻ったのは早朝5時頃で、痛みを感じてのこと。仰向けの私に相手が跨っている状態で、抵抗してトイレに逃げ込みました。その際に避妊具をしていない陰茎が見えました。なんで自分がここに、裸でいるのか全く分からなくて。でも頭はすごくクリアで二日酔いという感覚は皆無ですぐに動けた。ベッドの上に彼のノートパソコンが開かれたままだったのも覚えているし、直感的に撮られているんだと思ったのも事実です。後でわかったのは乳首から血が滲んでいたことで、膣内もそうだったかもしれませんが。トイレから出たらすぐ逃げようとしたんですが、そのまますごい勢いでベッドに顔と身体を押さえつけられました。とにかく力が強かったです。何とか抵抗して2度目のレイプをされることはありませんでしたが、怒りが収まらず感情のままに英語でこう言ったのです」
女性:一緒に仕事をしようという話だったのに、どういうつもりで、どういう神経でこんなことをするのか。しかもコンドームも付けないで、妊娠だって病気だってあるだろうし、何を考えているのか。
山口:ごめん。君のことが本当に好きになってしまって。早くワシントンに連れていきたい。7時にチェックアウトをして空港に向かうので、シャワーを浴びたら一緒に薬局でピルを買いましょう。
女性:とにかく服を返してください。(なかなか返却されず部屋を探し回る)
山口:下着だけでもお土産で持って帰ってもいいかな。いつもは強気なのに困った時は子供みたいで可愛いね。
それこそ這い出るように、何とか服を着て部屋を出た。
■「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準強姦逮捕状」(下)
“安倍首相に最も近いジャーナリスト”山口敬之・元TBSワシントン支局長(51)からレイプされたと訴えるのは、海外でジャーナリスト活動を展開する27歳の女性である。
就職についての話をするため、彼女が山口氏と東京・恵比寿で会ったのは2015年4月3日。異変は2軒目に訪れた寿司屋で起きた。酒に強いと自負する彼女が記憶をなくし、
「身体に痛みを感じて目覚めた時、あの人が身体の上に乗っている状態でした」(被害女性本人)
山口氏は避妊具を着けておらず、ベッドの上には開かれた状態のノートパソコンが。薬(デートレイプドラッグ)を入れられたと彼女は主張する。“下着だけでもお土産で持って帰ってもいいかな”と言う山口氏から逃れ、這い出るようにしてホテルの部屋を出たという。
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仕事の能力ではなく、単に女性として見られていたことの悔しさ。山口氏が「権力者とのコネクション」を折に触れて吹聴していたため、捜査当局に真実を打ち明けたところで揉み消されるのではないかという迷い。ジャーナリストとして、仕事ができなくなるかもしれない恐れ。それらがないまぜになって、周囲に事実を打ち明けるのに2〜3日、警察へ出かけて行くまでに5日を要した。
「まずは家の近くの原宿署に行って話しましたが、ホテルの所在地は高輪署の管轄になるからということで、そこの警部補の方と面会したのが11日。“こういうことはよくある話なので難しい”と頭ごなしに言われました。でもホテルのエントランスとロビーについた監視カメラの画像を確認してもらうなどしたところ、その警部補の方も徐々に捜査に積極的になっていきました」
そこから、特定したタクシー運転手やホテルのベルボーイによる証言などを積み上げた。加えて、「パソコンで撮られているかも……」と彼女が恐れた行為中の映像についても、
「撮られているかも、じゃ何も出来ないわけですが、本当に撮られているなら証拠になるし、その隠滅の恐れも、そして逃亡の可能性もあるからと『準強姦』の逮捕状が発付されました。日付はわからないのですが、私が連絡をもらったのは6月4日になります」
■「成田空港で逮捕!」
「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ」たが故にこの罪状が適用。山口氏は主として外国にいるので逮捕状の期間は比較的長く設定された。
「4日当日は仕事でベルリンにおり、向こうのお昼頃だったと思いますけれど、“逮捕したらあなたに話を聞かなくてはならないので、すぐに帰国できませんか”と担当の警部補に言われたのです」
逮捕予定は6月8日。山口氏が米国から帰国直後の成田空港においてだった。ちなみにこの時点で彼は文春の件で営業局に異動させられ、事実上、ジャーナリスト活動を封じられている。
そして迎えたこの日、担当の警部補とその上司を含めた複数の警察官は、成田空港で被疑者となる人物を逮捕すべく待ち構えていた。
ところが、そこへ上層部から連絡が入る。
〈山口逮捕は取りやめ!〉
入国審査を経た山口氏が通り過ぎて行く――。
■「私が判断した」
この事件をよく知る警視庁担当記者によると、
「逮捕状を取るまでの間、高輪署による捜査状況は、警視庁(刑事部)捜査一課にも報告されている。準強姦の案件なのだから任意ではなく強制性のある逮捕でなければ意味がないという認識だった。ところが、『山口逮捕』の情報を耳にした本部の広報課長が“TBSの記者を逮捕するのはオオゴトだ”という風に捉えたことで、刑事部長、警視総監に話が届いたわけです。なかでも、菅さんの秘書官として絶大な信頼を得てきた中村さん(格(いたる)・刑事部長=当時=)が隠蔽を指示した可能性が取り沙汰されてきました」
中村氏とは、
「昭和61年警察庁入庁組のエース。民主党政権時代に官房長官秘書官を務めていて、自民党が政権を奪取したあとは任を解かれる見込みでしたが、“やらせてください”と菅さんに土下座せんばかりだった。留任させたところ、得意の危機管理能力を発揮し、将来の(警察庁)長官間違いないとまで菅さんが評価しているのです」
いわば官邸の門番たる中村氏ご当人に、トップの意を受け、あるいは忖度して捜査を中止したのか問うと、
「ありえない。(山口氏の立場に)関係なく、事件の中身として、(逮捕は必要ないと)私が決裁した。(捜査の中止については)指揮として当然だと思います。自分として判断した覚えがあります。事件が最後にどう評価を受けているかを見てもらえば……」
確かに15年8月に書類送検され、その後に嫌疑不十分で不起訴となってはいるが、およそ検察が捜査を尽くしたとは言い難い。鹿児島県警本部長や首相秘書官を歴任した小野次郎前参院議員は、
「準強姦事件の逮捕は管轄の署長の判断で行なわれるものだから、刑事部長がそこに口を挟むというのは異例だと言わざるをえませんね」
と首を傾げるばかりだし、彼女自身、検察審査会に不服の申し立てをするつもりだという。
■山口氏の回答は…
さて、本誌(「週刊新潮」)の取材に対し、山口氏はこう回答した。
「私は当該女性に飲酒を強いておりません。『デートレイプドラッグ』なるものは見た事も触った事もありません。当該女性が千鳥足で、自力で公共交通機関を利用できるか不安だった一方、私は当日24時までに終わらせなければならない業務があったため、やむなく宿泊施設に来ていただきました」
あとは、法に触れることは一切しておらず、逮捕状は見せられていないし、任意調査に全面的に協力したし、安倍首相を始めとする官邸首脳にはこの件は相談していない……と訴えた。
結局、避妊具を使用せずに性行為したことには答えずじまいだったが、妊娠の可能性に言及する彼女に対しメールにて、〈精子の活動が著しく低調だという病気です〉と弁明していたのだ。
彼の主張を聞いた被害女性は改めて思いを語る。
「私が事実を公表しようと決断したのは、今回経験したことをそのまま世に出さなければ、私と同じように性犯罪の被害に遭った女性が、今後も泣き寝入りせざるをえない状況が続いてしまうと思ったからです。今国会で性犯罪の厳罰化を柱とする刑法改正案が提出されていますけれど、性犯罪の捜査に関しては最初から被害者に諦めを強いているのが今の社会の現実。その仕組みを少しでも変えていきたい。また、被害者をサポートする法案の整備も必要だと考えています」
その言葉の真率な響きは、半ばふんぞり返った権力を揺らすだろうか。
特集「被害女性が告発! 『警視庁刑事部長』が握り潰した『安倍総理』ベッタリ記者の『準強姦逮捕状』」より
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今回のレイプの証拠で重要なのは、ホテル従業員の証言です。
それは山口の証言の「詩織さんから誘って来た」というのを覆します。
詩織さんをベットに寝かせたのなら、かれはどこで詩織さんの誘いを受けたのでしょうか?
その後あなたは唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました。」
介抱したという嘘。そして詩織さんから誘ったという嘘が浮かび上がります。